
当時の日本文化とは外部から「発見」されるものだったのだ。フェノロサは美術の専門家ではなかったことも面白い。世界的に有名な浮世絵コレクターのスポルディング兄弟も素人だった。あまりに専門家になりすぎると、自分の分野がかえって見えなくなると言うこともあるのだ。
たとえば江戸浮世絵についていちばん基本的な学術書といえば、現在でも永井荷風の『江戸芸術論』。彼も美術については素人(絵はうまかったけれど)。荷風も米国とヨーロッパを知り尽くしていたからこそ、江戸を発見できたということなのだろう。
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ジェネラリストは役立たずという昨今の風潮だが、そんなに捨てたもんでもないです。
2 件のコメント:
ジェネラリストかスペシャリストか?どちらが役にたつか?という議論。
「葉隠れ」(鍋島藩の家臣山本常朝作)は明確にジェネラリストになれ、と説いています。
「一芸に秀でた人」というのは「侍ではない、芸者だ」とこきおろしています。
芸は身を助くると云ふは、他方の侍の事なり。御当家の侍は、芸は身を亡ぼすなり。何にても一芸これある者は芸者なり、侍にあらず。(聞書第一)
そうですか、葉隠れにも書いてありましたか。
最近の日本はどうも「職人」がもてはやされすぎて、また前途有為な若者が職人に憧れすぎ。NHKなんか「伝統職人は素晴らしい」とかの番組ばっかり流して、それを煽る。どうも政治的意図がありそう。
手堅く自分のテリトリーを確保してそこに閉じこもって居ればギルトに守られるし安心だという安易な発想だと思うのですが、ブームが過ぎれば職人ギルトは真っ先に淘汰されること確実。とても危険な職業選択ですね。
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